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Lesson-succulent plants

茎が伸びたのは良いこと?
-徒長の話-

2022.07.22

多肉植物を育てている方の中で時々、

「どんどん伸びていって形が崩れます」との声をお聞きします。

よく伺ってみると、カーテン越しの室内や、棚のちょっと奥まった日陰などで育てていることが多い様です。そして、「そうやって育てるものと思っていた」とみなさま仰います。

まだまだ多肉植物の本当の育て方は浸透していないのだな、と感じています。

このどんどん伸びる現象は、【徒長(とちょう)】と呼ばれ、

決して良いことではありません!

植物の茎や枝が必要以上に間延びしてしまう状態で、

正常な株に比べると、暑さ寒さ・病気・害虫の抵抗力が弱くなり、

枯れる原因の第1位だと言っても過言ではないと思います。

ヒョロヒョロした形も不恰好ですし、その株本来の可愛い色や形が失われ、なるべく徒長させたくないのが本当のところ。

今回は、

・徒長させない方法とは?
・徒長してしまったらどうすれば良いのか?

についてお話ししてきたいと思います。

右/セダム属虹の玉 左/グラプトペタルム属ブロンズ姫〈7月の姿

右側の虹の玉は、日の当たる場所で育った健康な状態。きれいな緑に、葉の先端が少し赤くなっています。葉と葉の間は隙間が無く、葉自体がぷっくりとしています。

徒長ってどんな状態になるの?

多肉植物の徒長の見た目は、①〜④のような状態です。

①葉と葉の間隔が空いている状態。(葉と葉の間の茎が伸びている)
②葉の色が濃い緑色に変化している状態。
③茎は細くなり、葉は薄く、長くなる状態。
④葉が外側に広がっている状態。

徒長する環境下に置くと、1週間もたたないうちにこのような変化が一度に起こります。

セダム属虹の玉〈ひどい徒長状態

健康な株(一つ上の画像)に比べてとても貧弱な印象の虹の玉。
葉と葉の隙間がとても広く開いています。ここは健康な株には無い場所です。
葉自体も細くて色も少しくすんだ緑色。可愛い葉の先端の赤みがほぼありません。
全く別物の様な変貌ぶりですね!

なぜ、徒長は起こるの?

育てている多肉植物が徒長していると思った場合、原因を探って改善する必要がありますね。

多肉植物が徒長する原因は、

①日照量が足りていない場合 
②肥料が多い場合
③土が培養土のみであるなど、保水性の良い土に植えている場合
④水をあげ過ぎている場合

などです。

圧倒的に多いのが、室内で育てていて日照量が足りない時。

又は、外に置いているけれど、他の植物等の影になっていて日照量が足りていない時。

多肉植物は日光がとても大好きな植物ですので、太陽を求めて自ら細胞を引き伸ばし、それによって細くて長い貧弱な株になってしまうのです。

肥料については、上手にあげればとても良いものなのですが、

日照量が足りない時に肥料が効いていると更に伸びていってしまいます。

水持ちの良い土も、水のあげ過ぎも、日照量が足りないとぐんぐん伸びてしまう原因になりますね。

反対に、十分な日照量が確保されて、風通しの良い場所にある多肉植物は、肥料や水持ちの良い土で育てていても、さほど問題ない場合もあります。

真ん中/セデベリア属イエローフンバート〈葉挿し苗

奥は日光が良く当たる場所で、手前にくるほど日陰になる場所に置いてある葉挿しトレー。
奥の苗に比べて手前の方は徒長し、太陽の方向に向かって茎を伸ばしている感じがしますね。

徒長させない為に気をつけるポイントは?

①多肉植物は外に置き、日光にしっかり当てましょう。

年間を通して日光はとても大切です。

少なくても4時間以上、梅雨〜真夏以外は一日中日が当たる場所があればベストです。

そして特におすすめなのが、朝日!

朝日は、植物にとって一番効率よく光合成できる光です。

そして、真夏の時期も、朝の涼しい時間帯の日光はほとんど害がありません。

可能である場合はぜひ、朝日が当たる場所を選んであげましょう。

ただし!

梅雨〜夏にかけての直射日光は、多肉植物にとっても強すぎます。

特に高山に自生する品種は暑さと湿気にやられてしまう事も多々あります。

上記のような午前中のみ日が当たる場所があれば良いのですが、

午後の暑くて強い日光が長時間当たる場所しかない場合は、「遮光ネット」という日光を遮る為のネットをかけてあげるか、日光に強い植物など隣に置き、木漏れ日が入るような環境を作ってあげる事をオススメします。

遮光ネットは、ホームセンターや100円均一にも売っているほど安価で手に入り安いものです。

直接ネットが多肉植物に当たらないように、支柱を立てたり棚やフェンスに取り付けるなどして設置しましょう。

色は白で、遮光率40〜50%くらいのものがあれば一番オススメです。

台風が来る時は外さないと危険な場合もありますので、

簡単に取り外しできるように設置するのもポイントです!

風を遮らないよう、風の通り道もきちんと確保してくださいね。

そしてもう一つ最大の注意点があります!

徒長している多肉植物をすぐに直射日光下に置かないでくださいね。

『徒長=弱った株』なので、直射日光下ではすぐに葉焼けし枯れてしまう可能性が高いのです。

まずは、今の場所よりも少し明るい外の日陰に移動し、1週間そこで養生しましょう。

その後、真夏以外であれば直射日光下で育てて大丈夫です。

もしも葉焼けする様であれば、直射日光に当たる時間を少なくし、徐々にその時間を伸ばしていく方法をとっていきましょう。

真夏は直射日光が強すぎる場合があるので、明るい日陰で管理したまま秋になったら直射日光下へ移動しても大丈夫です。

東向きの朝日が当たる場所にて
ここは午後からの直射日光は当たりません。
風通しも良いので一年を通してこの場所で管理しています。

②風通しの良い場所に置きましょう。

風も日光に次いでとても重要な役割を果たします。

風がなく空気が止まっている場所にあると、なかなか土が乾かない事でどんどん水分を吸い上げることになり、徒長の原因になります。

また、その状態が続くと土の中が蒸れてしまい、多湿が苦手な多肉植物は根腐れを起こし、やがて枯れてしまいます。

更に、風がないことで虫が寄り付きやすく増殖の原因にもなります。

どんな所がより良いのかは、

① 地面に近い所よりも棚の上の方が通りやすいです。

② 建物等に囲まれた場所よりも、空間が広く空いているところの方がより通りやすいです。

③ 植木鉢やプランターの置き方もひと工夫してみましょう。鉢同士の間隔を少し空けたり、株元の高さを合わせたり、鉢の底穴の部分を完全に塞がない様にメッシュのカゴの上に乗せるなど。

それでも風通しの良い場所がない時は、

サーキュレーターで風を人工的に起こしましょう。

直接多肉植物に当たらなくても、空気が動く様に風を送ってあげれば大丈夫です。

 

③水はけの良い土に植えましょう。

葉に水分を溜め込むことの出来る多肉植物は、雨がほとんど降らない場所に自生しているケースが多く、多湿を苦手としています。そして、決して肥沃な土地ではありません。

このことからも、水分、栄養分は最低限で良いということが分かると思います。

何日も湿りっぱなしの土では根腐れを起こしますし、かといって小石ばかりの全く保水しない土では大きく育ちません。

ホームセンターや園芸店で売られている多肉植物やサボテン用の土は、水はけや水持ちが多肉植物にちょうど合う様に配合され、且つ肥料も含まれていないので、初心者の方・自分で配合するほどではないよ、という方にはおすすめです。

様々な種類の土を買って配合する場合、品種・季節・日照量・風通し・使っている鉢の種類・水やりの頻度などによってカスタマイズができるというメリットがあります。

・高温多湿に特に弱い品種は、夏は水はけの良いの土を多めにブレンドするとか。

・セダムやクラッスラなどの水が好きな多肉植物には保水性の高い土を多めにブレンドするとか。

・春の成長期には肥料の効いた培養土を少しブレンドするとか。

・日照量も風もあまりなくて心配な場合は鹿沼土だけで育ててみるとか。

育てていくうちに、こっちの配合の方がよく育つのではないか?と、色々試してみる事も醍醐味だと思います。

 

そのほか、植木鉢の素材によっても乾き方が変わりますね。

乾きやすい素材は、素焼き鉢やプラスチックのスリット鉢など。

その他、木箱やリースも乾きやすいですね。

BiotopeCollege-FUN-オリジナルの寄せ植えの額縁は木で出来ていますし、

鳥かご寄せ植えは網と麻布のみなので、乾きやすさ抜群なのです。

 

当店の商品『SAGERU』シリーズ。
麻布を敷いて土を入れているので、通気性はとても良いです。

私のオススメ育て方

ちなみに、BiotopeCollege-FUN- では、

セダム、クラッスラ、ネックレス系(グリーンネックレスやルビーネックレス等)、葉挿しや挿し木には、市販の花と野菜の培養土で育てています。

日当たり、風通しは良好で、増やしやすいように大きめのプランターやトレーに植え、水やりは土が乾いたらあげているのですが、大体3日に1度くらい。葉挿し・挿し木以外は雨晒しの環境です。

そして時々、水やりの時に活力剤(リキダス等)を入れています。

活力剤は肥料とは違って徒長や紅葉に支障がない上、ちょっと元気がない様な時にも与えることが出来るので、月に1度程度あげています。これらは、水が好きな品種の育て方です。

それ以外のエケベリアやアエオニウム、センペルビウムなどは全て、

花と野菜の培養土、鹿沼土細粒、ピートモス、日向土小粒、バーミキュライト、パーライト、くん炭を配合しています。

秋に植え替えする時は、培養土は外します。肥料成分が残っていると紅葉しづらくなるためですね。春に植え替えした株は、肥料も切れている頃なので異変がない限りは植え替えしない様にしています。そうして年に1度くらいを目安に新しい土に変えながら植え替えをしています。

使用している鉢は、主にスリット鉢の「プレステラ」を愛用しています。スリットがある分他の鉢よりも乾きが早く、軽いので重宝しています。

寄せ植えは、ワイヤーのカゴなどに麻布を張って土を入れ、それをヒモなどで吊るして育てているものが調子が良くてお気に入りです。ブリキやプラスチックの鉢を使うこともありますが、その時は、軽石を鉢の1/3ほど入れて排水を良くしています。

植物を育てるのに絶対はありません。どんな土でもどんな鉢でも条件さえ合えばうまく育つのです。より条件が良さそうな場所を選び、先週よりもどうなっているのかをよく観察し、良ければそのまま、ダメならまた違う方法を試すの繰り返しにより、最適な環境が見つけられると思っています。

あれこれ試しながら、楽しんで育てていきましょう!

 

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